ロワーサイドの幽霊たちの感想

さて、これは以前感想を書いた宮内悠介氏のヨハネスブルグの天使たちの一編である。

短編集でありながら連作としての形も成している内の一つであるが、その中で個人的に気になった部分をピックアップしよう。

 

テーマは2001年9月に起きたアメリカ同時多発テロである。しかしノンフィクションでなく、あくまで連作の内の一編であり、フィクションである。そこに現実感を持たせる技法に着目したい。

 

それはシーンの切り替わりの際、ツインタワーの建築に関わった人間やテロの被害者達のコメントを載せている点だ。こう書くと少し陳腐でないかと思われるが、なかなかどうして不思議なことにフィクションとノンフィクションを融和させてくれるのだ。

 ちなみに何人かそのコメントの主のことを調べてみたが、恐らく実在はしないらしい。

 

なお、この手法は使うのにとても苦労しそうと感じた。何故ならシーンの切り替わりに挟むため、視覚的にも時間的にも物語と断絶する部分が出来てしまうためだ。

実際に読んでみるとそう感じないのは宮内悠介氏の技術によるところに他ならない。

 

トーリーに関しては…少し控えよう。まだ短編集を全て読んだわけでないのでね。