血の色に集結せよ

貴様の血は何色だ。いやいや、切って確かめてもらう必要もない。赤色なことは分かり切っているのだ。

 

恐らく人間の唯一の共通点であるのが、君たちの中に流れる血の色である。

 

思考を巡らせよう。誰しもに共通する人間の特徴を。

言語能力はどうだ?

確かに。しかし、言語野に何かしらの障害を得ていたならば?あるいは言葉を覚える前に、自然に放逐された後どこかの野生動物の母性に守られ成長したならば?

人間の大きな特徴の一つと言えるが、誰しもに共通することでは無い。

 

信仰はどうだ?

確かに。この世界の多くの人間は信仰を持つ。

しかし、全ての人間では無い。数値としても55%(2009年の百科事典・ブリタニカによる)程度であるし、神の救いを求めて、尚見捨てられた人間がいる以上、誰しもに共通することでは無い。

 

服は?それも駄目だ。言及するまでもない。

社会生活は?それも駄目だ。言及するまでもない。

五体のいずれかを持つのは?勿論それも駄目だ。事故により、生まれにより、人との違いは出てくる。

 

……肌の色は?

ある種の答えに近い。一昔、二昔。あるいは更に昔ならば。ホワイトのみが人間だ。なんて夢見事を抜かしていた頃ならば、これは真実であった。各人種が各人種のみを人間として扱い、それ以外を人間以下とした頃なら。

しかし今やそうではない時代に入ったはずで、そうあるべきと殆どの人間は考えるはずだ。

すなわちこれも誰しもに共通することでは無い。

 

そう、忌むべきことがある。肌の、出自の、信仰の、その他幾多もの誰かとの共通点に寄りかかることだ。いや、寄りかかるだけならばいい。寄りかかり、自尊心を維持し、自分を保つことにより自分を守れるなら。

だとすれば、誰かとの共通点を剣として誰かに斬りかかることを忌むということだ。

 

こうなるとやはり結論はこうなる。血の色のみが人間の共通点である。誰しもに血は流れている。生きた血だ。

誰かとの共通点に寄りかかるのは、突き詰めれば共通点を持たぬ人間への迫害を生むかもしれないなら、血の色に集結せよ。

 

何の話だったの?